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妙卉庵待庵
妙卉庵待庵

一期一会の空間

単純にしてもっとも貴重な遺構

都林泉名勝図絵
JR東海道線の山崎駅改札を背にして左側に降りてすぐ、閑静な住宅街のなかに、古刹妙卉庵はある。その強烈なメッセージを放つ茶室は、この寺に慎ましやかに佇んでいる。
まず書院に入り、その縁側から茶室にいたるまでの庭の形式である「露地」 (路地) がはじまる。延段と呼ばれる畳のように石を敷きつめた飛び石が茶室に沿って延びている。この延段は桂離宮や裏千家今日庵、薮内家燕庵などの露地にも見られるが、おそらく、この妙卉庵が最初の例だといわれている。
さらに左折すると、景色と足触りが打って変わって、茶室の南の土間庇へ続く。丸い川石を用いた飛び石が足元に野趣を添え、南に面した明るい陽射しのなか、茶室入口であるにじり口へと自然に導かれる。
茶室にいたるまでに気分を高めるための到達の儀式とでもいうべきものが露地であることを、ここは教えてくれる。妙卉庵の例は、ごく初期の露地の原型として、単純にしてもっとも貴重な遺構である。
江戸時代の『都林名称図絵』に描かれている妙喜庵の露地を見ると、柴山手水鉢と呼ばれる手水鉢が自然石の上に据えられているが、現在は灯籠だけが残されている。また、豊臣秀吉が訪れた際、その袖が触れたという「袖すりの松」と呼ばれる老松が描かれているが、今はやはり失われている。

離宮と秀吉の厳しい対決の空間

さて、露地を歩いた末に辿り着く到達点である茶室へと眼を転じてみる。
妙卉庵待庵。
茶道の完成者といわれる千利休が造った現存する唯一の茶室として、国宝に指定されている。利休が茶道指南を勤めるときの権力者である豊臣秀吉のために営んだといわれ、秀吉一畳、利休一畳、計二畳の極小茶室である。
極小であるだけでなく、無駄な装飾は一切ない。そのせいか、開口部など各部のプロポーションによって、凄みすら感じられるほどの強い緊張感を得ることに成功している。侘びを具現化した草庵茶室の代表作といわれる由縁である。一説には、成金趣味に走る秀吉を茶道指南として戒めるために利休が造ったものともいわれている。つまり、利休と秀吉の一期一会の茶の湯のための厳しい対決の空間ということも出来るのだ。
待庵が造られたのは1582年。秀吉はこの年、主君・織田信長が本能寺の変で自刃した敵討ちとして、明智光秀を京都山崎の地で破り、そこへ城を構えた。それは天下統一の直前であり、秀吉がもっとも慢心していた時期とも重なる。現にこの年は、秀吉最大の汚点というべき、あの朝鮮出兵を発表した年であり、また有名な黄金の茶室を造らせ、物欲、権力欲ともに旺盛な時期であった。
こうした時期に、秀吉のために造られた待庵には、利休のメッセージが込められている。
第一に、にじり口の考案である。にじり口とは、縦横40センチほどの茶室の入口のことで、待庵がその発祥とされている。武士も町衆も身分に関係なく、平等に這いつくばって茶室に入るのである。まさに慢心した秀吉に謙虚さを諭すのにうってつけであろう。また、刀を腰に差していたのでは、にじり口から中へ入ることが出来ない。1837年の待庵には、刀掛けがあった。
つまり、秀吉の武将としての権威のシンボルである刀をここに掛け、茶室から排除したのである。この刀掛けも、待庵が発祥といわれている。
利休の第二のメッセージは、室床と呼ばれる床の間である。それまでは1間幅の床を常としたところを、間口、奥行きともに約半分に縮小している。つまり、豪華な横絵、長絵のなどの名物を掛けることを出来なくし、そのかわりに花入掛けの釘を一本打ち、花の一輪掛けを重視したのである。また、従来の張付壁にかわって、藁入りの土壁をあらわにしたのも、名物を置けなくするための工夫だろう。さらに2畳という極限まで縮小したことも、従来の豪華な台子手前の否定のためだ。このように、利休は名物を排し、秀吉の物欲を戒めようとした。

例外的な茶室が意味するものは

ところで、千利休は、待庵以前、どんな茶室を造っていたのだろうか。
利休の本邸である堺屋敷の茶室については、四畳半に一間床を構え、入口は一間半に四枚障子で、床は張付壁であったという。
すなわち、利休にとってもっとも重要な本邸の茶室は、四畳半で、入口が待庵のようなにじり口ではなく、縁側から障子戸を開けて入る形式で、さらに床は待庵の藁入り土壁ではなく紙を張り、大きさも待庵のような小さなものではなく、一間として人一人分に相当する大きさを持っていたことがわかる。
山上宗二の伝書によれば、京都や堺では利休の師・武野紹鴎の四畳半を写し建てたとあることから、利休もまた師の四畳半を継承したのだろう。現に堺の四畳半のほかにも、東大寺四聖坊の利休の茶室が起し絵などで伝えられているが、やはり紹鴎の四畳半の写しである。そして、1582年、山崎城下にわずか二畳の茶室に次の間と水屋がそれぞれ一畳ついただけの妙卉庵待庵を構えるのである。
ところで、利休は、堺本邸の四畳半の茶室を、待庵造営の翌年の1583年になっても茶会で使っている。また、利休は、四畳半を、茶の法式の根本とまで言い切っている。さらに、1577年の北野大茶湯においても四畳半の茶室を用いているし、京都の居城聚楽第の茶室も四畳半であった。その他、1583年から 1584年頃に造られたと見られている不審庵も創建当初は四畳半であったといい、当時は茶室の模範とされていたという。
『数寄屋次第』によれば、その後も堺、京の茶室の主流は相変わらず四畳半で、さらに所持するならば二畳であるといい、世間も利休も茶室は四畳半と認めていた節がある。
それでは利休は、なぜ、例外的なわずか二畳の茶室を秀吉に突きつけたのだろうか。慢心した秀吉を戒めるだけのために、これほど極端な茶室を造る必要があったのか。

朝鮮出兵と待庵のメッセージ

村井泰彦の『千利休追跡』によれば、 待庵には朝鮮の民家の影響があるという。現に、ソウル郊外の民家園のいくつかの民家の入口には、明らかな潜り形式が用いられている。
また、待庵最大の特徴のひとつである宝床と呼ばれる床の隅を丸く塗りまわす手法も、朝鮮の民家特有のものだった。さらに、利休の茶碗を焼いたのは、現在の楽家の初代長次郎だが、朝鮮からの帰化人であったといわれている。
一方、1723年の『茶道望月集』には、秀吉が文禄の役の帰りに肥前名護屋城から上洛の途中、利休の案内で妙喜庵へ立ち寄って待庵を造ったという伝説が記されている。
さらに、『不白筆記』には、朝鮮出兵の文禄の役の際、博多で、利休が高麗囲を試みて、妙喜庵の茶室もそこから造られた、と書かれている。
文禄の役にはすでに利休は亡くなっており、どちらの記録にも矛盾があるが、こうした伝説が造られた背景にあるもののほうが重要である。また、朝鮮出兵の際に日本にもたらされた朝鮮のツバキを、利休は、侘助と呼んで、茶室の露地に用いた。
待庵が造られたのは、秀吉が高麗攻めの計画を発表した、まさにそのときであった。その意匠は、ことさらに朝鮮民家の特徴を強調した節がある。朝鮮風の茶室で、利休は朝鮮出身の長次郎の焼いた黒楽茶碗を秀吉に突きつけたことになる。
はたして、これら一連の朝鮮を巡る出来事は、偶然だろうか。朝鮮出兵のためにかの地を訪れた大半の武将が、出兵を渋っていた。武将というものは、大義名分がなければ、殺戮を行なったりはしないからだ。一方的な出兵を、彼らは躊躇した。
秀吉の口癖が、「内々のことはりきうへ」であった。つまり、秀吉に直接言いにくいことは、単なる茶道指南ではなく、秀吉の政治的ブレーンでもあった利休に言え、ということだ。朝鮮出兵の最中、利休のもとへは最前線の大名から出兵中止を請う嘆願書が多数送りつけられた。利休以外に、秀吉へ具申出来る者はいなかったのである。
1591年、利休は秀吉の怒りに触れ、ついには切腹して果てる。茶同士の七不思議のひとつに数えられる利休と秀吉の葛藤が、そこにはあった。待庵は、そのことを静かに物語る場所である。

ルイス之印

■妙卉庵待庵
京都府乙訓郡大山崎字大山崎小字竜光56
拝観/要予約 大人1000円
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